My Favorite Things III

福岡生活 ひきつづき

九州交響楽団 第440回定期演奏会

九州交響楽団 第440回定期演奏会
2026年6月12日(金)19時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

ワーグナー:歌劇「タンホイザー」より 序曲とヴェーヌスベルクの音楽
リスト:ピアノ協奏曲第2番*
ドビュッシー:「海」管弦楽のための3つの交響的素描

ユベール・スダーン(指揮)

中川 優芽花(ピアノ)*

九州交響楽団
(コンサートマスター:西本 幸弘)

 

マエストロ・スダーン&九響4度めの共演です
私は「海」好きで以前はよくCD聴いたりしましたが、実演に接するのはだいぶ久しぶりとあって、とても楽しみにしていました

そのコンサート
タンホイザー冒頭のホルンの柔らかい響きにまず耳が吸い付いてしまいました。
この重奏はメロディの美しさはもちろん、音の重なり方がとにかく絶妙で、ほんと美味しいなあと思います。
全体的に落ち着いたテンポでじっくり聴かせる演奏でした。

リストのピアノソロ中川優芽花さん、演奏に接するのは初めてでしたが
粒立ちよくキレのよい発音で、聴いていてとても気持ちよかったです
とても艶やかで、流麗と言えるような美しい演奏で素晴らしかった。

そして後半の「海」、
指揮者とオケ全体がひとつの音楽として動いているような、
実現したい音楽がそのまま凝縮されているような、
とにかく集中力の高い、見事な演奏でした
私はなんだか聴くというより、音楽を全身で浴びているような感覚になっていました。
あたかも目の前に海の情景が現れて、時間と共に変化していくのを体感しているように感じ、あっという間に終わってしまったようにも思います。

4度目の共演、オーケストラみんなマエストロを慕い、
その意向をひとつも逃さず、音として表現すべく全集中している様子に胸が熱くなりました。

珍しくオーケストラアンコールも2曲、
そしてマエストロのカーテンコールでの様子などから、
もしかするとひとつの区切りなのかもしれないな、と思わせられました

この日は長年九響の低音パートを支えておられたチューバのSさんが
最後の定期だったこともあり、少ししんみりした気持ちになりました。
マエストロ・スダーンも、Sさんも、この先もずっとご活躍をお祈りしています。

 

(備忘録として。
 コンマス西本さんの輝ける美音もいつも通り冴えていたけれど、コンマスサイドに座っていた女性奏者の方の音も美しくとても印象的でした!)

 

「九響おんがくアカデミー」へ

九響さんが定期演奏会に向けて毎回開催してくださる、音楽学講師による作品解説セミナーです

次回定期のプログラムは
ワーグナー:歌劇「タンホイザー」序曲とヴェーヌスベルクの音楽
リスト;ピアノ協奏曲第2番
ドビュッシー:「海」管弦楽のための3つの交響的素描

このうちドビュッシー「海」についてのレクチャーでした


題して「ドビュッシーにおける水の変容:「形なきもの」の表現を求めて」
お話くださったのは音楽学者の高坂葉月先生です。

まず、ドビュッシーの人物像と交友関係を、背景となる当時のパリの状況とともに説明いただきました。
そしてドビュッシーが、音楽と水の間に特別な関係を見出していた、という話や「水」に対するイメージ、思いなど、
また「海」との関係やその音楽館なども解説いただきます
さらに、演奏曲である「海」の譜面を見たり音源を流しながら、ドビュッシー独自の水の表現、象徴的なリズムや響きについてなど、とても興味深いお話をたくさん聞くことができました
充実した濃い内容を30分にまとめていただいて、
高坂先生の講義はいつもとても聴きやすく勉強になります。

後半は九響(若手)弦楽奏者によるドビュッシー「弦楽四重奏曲 ト短調」より第1楽章

このメンバーは普段も四重奏団として活動されていることもあり、息のあった集中力高い演奏でとても素晴らしかったです。
(デジタル譜面なのねー、とそんなところでも目ウロコ✨)
その後のトークも楽しくて、良い時間になりました

実際の演奏会は6月12日、マエストロ・スダーンの指揮です
私はこのところ身辺慌ただしく過ごしていますが、この頃には少し落ち着いて演奏会へ行かれるといいな、という気持ちも込めて、とても楽しみにしています

「九響おんがくアカデミー」&16年前の「ドン・キホーテ」

九響さんが定期演奏会に向けて開催してくださる音楽セミナー
次回第439回定期に向けてのこの日のテーマは「理想と現実の音楽旅」
というのも、次回のプログラムは「ドン・ドン・ドン」
Rシュトラウスの「ドン・ファン」「ドン・キホーテ」と、時代を遡りテレマン「ドン・キホーテのブルレスカ」という、面白そう! 演奏聴いてみたい!!コンサートなのです

この日の講師は西田紘子先生。
「共通するのは『手の届かない理想へのあこがれ』と『現実との摩擦』。
 三つの音楽をとおして、人間のおろかさ、愛おしさを体感しませんか」
終始面白いエピソードや解説盛りだくさんで、時間が押していたけどまだまだ聞きたい..

シュトラウスの特徴・得意技である「音楽での描写」、
テレマンの時代の「音画的(tone painting)」=音で読む物語というジャンル。
解説とともにYouTubeで曲を聴きがら確認していきました。
実際に演奏を聴いたら、情景がよりリアルに見えそう。

ところで音楽主幹氏からの情報によれば
ソロチェロ(ドン・キホーテ役)を担当されるウィーンフィル首席奏者のタマーシュ・ヴァルガ氏、
ソロを弾かないときはオケに入って弾きたいとの希望があり(!)
この日はなんと、ヴァルガ氏率いる九響チェロパート、になるそうです。
楽しみすぎる。

 

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(以下、余談と再掲)
シュトラウス「ドン・キホーテ」は、16年前の九響さん演奏も聴いています。
300回の記念定期、
指揮は亡き秋山先生、チェロはダヴィッド・ゲリンガス氏、ヴィオラが豊嶋泰嗣氏でした。

(↓2010年に書いたブログ記事、公開していないので内容を貼ります。
 この頃の定期では、毎回ウェルカムコンサートが行われていたんですよね)

九州交響楽団 第300回記念定期演奏会
メジャーへのステップVI
~秋山&九響が贈る「R.シュトラウスの世界」最終回!~

2010年5月23日(日)15時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

秋山和慶(指揮)

ダヴィッド・ゲリンガス(Vc)*(**ドン=キホーテ)
豊嶋泰嗣(Vla)(**サンチョ=パンサ)

扇谷泰朋(コンサートマスター)
九州交響楽団

リヒャルト・シュトラウス:
13管楽器のためのセレナード 変ホ長調 作品7
メタモルフォーゼン(23の独奏弦楽器のための変容)
チェロと管弦楽のためのロマンス ヘ長調*
交響詩「ドン・キホーテ」作品35(騎士的な性格の主題による幻想的変奏曲)**
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警報が出るほどの大雨の中、じゃぶじゃぶ出かけてきました。
九響さんの300回記念定期、あいにくのお天気にも関わらず大盛況。

R.シュトラウスをシリーズで追ってきたこれまでの定期に、
残念ながら私の引越しは間に合わなかったけれど(涙)
最終回を聴くことができて嬉しい。
今回は記念定期ということで、九響にポストのある演奏家も揃い、
(チェロのゲリンガス氏は首席客演指揮者、
 ヴィオラの豊嶋氏は桂冠コンサートマスター)
また九響メンバー個々の活躍も堪能できるプログラムです。

1曲めは管楽器奏者13人、2曲めは弦楽器奏者23人が
おのおの個別のパートを演奏するので、
総譜はそれぞれ13段、23段に分かれているそうです。
私は特にメタモルフォーゼンの、美しい音の重なりにうっとり。
空間に満ちるこの音のきらめき、どこかで聴いたことがあると思ったら、
「カプリッチョ」"月光の音楽"の印象に似ているのですね。
この曲(素人考えかもしれませんが)、たくさんの音の中に
特別綺麗な音とかきらびやかな音質が目立ったりせず、
パーツの粒が揃い安定感のあるアンサンブルが良いのかも。
九響さんの渋い大人のアンサンブルはまさにぴったりで、
それが今回の幸福感と感激を一層増した原因かもしれません。

1曲めの管楽器の柔らかくロマンティックなメロディも
3曲めのゲリンガス氏の雄弁な独奏チェロも
終始客席で頬が緩んでしまうような素敵な演奏でした。

「ドン・キホーテ」はご存知セルバンテスの名作。
独奏チェロがドンキホーテ、独奏ヴィオラがサンチョパンサ役、
そこにコンマス他、管パート等の各ソロが絡みつつ物語が進みます。
個人的には、こういう曲はライブに限る。と思っています。
それも出来れば、ステージ全体見渡せる席で。
「もう冒険は嫌だ」というソロヴィオラに、
「ぐずぐず言わずについてこい」と怒るソロチェロ、
そこにバスクラリネットが入れる合いの手、とか。
妄想冒険家の二人が空中飛行する(と思っている)シーンで、
ひゅうひゅう鳴るウィンドマシーンとか。
個々のプレイヤーが見事に決めていく様子を目で確認できるのって、
本当に楽しいです。

今回、私は生で聴くのは初めての曲ばかりでした。
九響さんは、比較的演奏機会の少ない曲も取り上げてくれるので、
定期演奏会を追うだけでも、十分幅広く聴くことができるようです。
今回、300回に至る演奏会の軌跡をまとめた冊子が配られ、
ざっと拝見しただけですが、
これまでの演奏曲目もかなり意欲的。
願わくばいろんな指揮者も来てくれるといいなあ。

と思いつつ、でも今回も十分、満足度幸福度共に高く、
ほくほくしながら帰途についたのでした。


☆開演前のロビー・コンサート
f:id:dalila2025:20260425214525j:image
ベートーヴェン:3つの弦楽三重奏 作品9-1より 第1楽章
(写真左から)
扇谷泰朋(Vn)
ダヴィッド・ゲリンガス(Vc)
豊嶋泰嗣(Vla)

「九響ロビコン始まって以来の豪華メンバー」によるアンサンブル。
開場と同時に、真上から見える位置を確保して聴きました☆

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九州交響楽団 第438回定期演奏会

九州交響楽団 第438回定期演奏会
「幕開けは満を持して」太田弦 × 九響 英国セレクション

2026年4月18日(土)15時開演  アクロス福岡シンフォニーホール

太田弦(指揮)
岡本誠司(ヴァイオリン)*

B.ブリテン:ヴァイオリン協奏曲*
W.ウォルトン:交響曲第1番

九州交響楽団 (コンサートマスター:扇谷泰朋)

 

今シーズン開幕の定期演奏会は、
首席指揮者の太田さんが就任3年めにしてようやく実現した肝入りのプログラム。
2曲とも生演奏に接するのは初めてでしたが、
ほんのちょっと演奏面でもかじったことのあるブリテンなど、
英国音楽好きの自分としてもとても楽しみにしていました。

そのブリテンのヴァイオリン協奏曲、
とても難解な曲なのは、先日の事前セミナーなどでも分かっていたのですが、
この日のヴァイオリンソロは、身体から湧き出るような自然な発音で雄弁に物語を紡ぎ、しかも芯のある艶やかな美音。
耳が吸い付くように追いかけてしまいました。
オーケストラもソロによく寄り添い、とても素晴らしい演奏でした。

ソリストアンコール、
ブリテンの世界観からつながる深く静かな音楽で、心に刺さりました。涙が出そうでした。

 

後半のウォルトン交響曲は、予習が間に合わず、ほぼ初聴でした。
でもそれはひとつの聴き方だったかも(・・って二度とできませんが笑)。
すべてが新鮮でしたが、
それはたぶん奏者の方々も(例えばベートーヴェンとかブラームスとかに比べて)演奏回数は少ないでしょうし、
奏者も客席も、慎重で冷静な視点と高揚興奮の気持ちが相まった、まさにこの曲そのもののような臨場感がありました
あの時あの場でしか経験できなかった演奏、太田マエストロ&九響が作り上げた音楽。
客席にいられたこと、幸せです。

画像は九響公式Xより

 

・・音楽とは無関係な個人的な話ですが、じつは私はこの前日、業務上の某資格試験があり、
それが不器用な私には結構大きな試練で、
しばらく精神的にも時間的にもまったく余裕がなかったのです
試験を終え、無事(たぶん)合格して臨んだ演奏会だったので、
気持ちの上でも解放感でいっぱい、この日のコンサートは心から楽しめました。
日程が逆じゃなくて本当によかった(笑)
太田さん&九響の英国セレクションは、シリーズ化の予定もあるとか。
きっと私はこの1回めを、自分の事情とともに思い返しながら聴くことになるでしょう。

 

「九響おんがくアカデミー」へ

九響さんが定期演奏会前に、その予習として開催してくれる「目からウロコ!?の九響おんがくアカデミー」。
音楽学講師による作品解説や楽団員による演奏など約1時間のミニセミナーです。
他ではなかなか聞けない内容の講義を聞けるチャンス、
また普段はオケの一員として遠くから眺めている楽員さんが目の前で演奏してくださる✨ということで、予定が合うかぎり参加させていただいています。

今回の話題となる4月定期は、ブリテンのヴァイオリンコンチェルトとウォルトンの交響曲第1番という英国プログラム。
お話してくださるのは堀朋平先生です。

爽やかなだけではない(!)20世紀イギリス音楽について。
ブリテンは人生の節目にその内面を(日記を書く代わりに)音楽で表現したという説、それがマーラーとも通じるということで、それぞれの音楽のその部分を聴きながらの解説。
また、ポピュラーな印象が強いウォルトンの、突然暴発するような激しい咆哮、その部分でシューベルトの室内楽との比較。
第1次世界大戦という激動の時代を経験した作曲家たちが、意識無意識に影響を受けている(のではないか)というお話はとても興味深く、勉強になりました。

後半の楽員演奏は、今回なんとブリテンの無伴奏チェロ組曲第1番(より)。
特殊奏法を多用し(見るからに)演奏の難しい曲ですが
首席の山本直輝さん、深い音色と見事な表現で素晴らしい演奏を聴かせてくださり、感激でした。

4月18日の定期開演前にはステージ上で、
太田マエストロと堀先生、音楽主幹の柿塚さんの3人によるプレトークもあるようです。
いろいろますます楽しみです!

九州交響楽団 第437回定期演奏会

2026年2月11日(水・祝)15時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

太田弦(指揮)

 

グスタフ・マーラー 交響曲第9番 ニ長調


九州交響楽団
コンサートマスター:西本幸弘)

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2月にしては暖かい祝日、
 交響曲1曲だけのコンサートはマチネ公演で、のんびり出かけました。

アクロス福岡

マーラー9番を演奏会で聴くのはじつは初めてで、
予習不足で展開が読めず、正直迷子になりそうな時もあったのですが、
オーケストラの皆さんの熱演は見ているだけでも麗しく刺激的で、
結果的には 90分、飽きずに堪能できました。

丁寧でゆったりと、しかしどこか光の見えるようなマーラー
美しい響きはどこまでも美しく、
激しい演奏は突き抜けるように、
そして静かな音楽は、静寂の向こう側へ手を伸ばすように。

さいごの音が消え、マエストロの手が降りて脱力するまで、
満員の客席もみじろぎせずにその静寂を味わいました。
あの場にいた全員で作り上げた終幕、涙が出そうでした。

(画像は公式サイトより)

節目に演奏されることの多いというマーラー9番ですが、
今回は、今年度最後の定期ではあれど、
この先も続く太田マエストロ&九響の道のりの中でのひとつのタイミングという位置づけ、と指揮者プレトークでのお話。
あとから振り返ると、その言葉通り、
首席指揮者2年めのマエストロの音楽に九響がとても馴染んできて、
この先さらに進化していく、その展望を見せていただいたような演奏でした。

次年度開幕の4月定期は、ブリテンウォルトンの英国ブログラム。
マエストロ肝煎りの選曲とのことで、とても楽しみです。

九州交響楽団 第436回定期演奏会

2025年12月3日(水)19時開演
アクロス福岡シンフォニーホール

ヴァレリー・ポリャンスキー(指揮)
阪田知樹(ピアノ)

ムソルグスキー:はげ山の一夜 (原典版
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番 変ロ短調 作品23
ラフマニノフ:交響的舞曲 作品45

九州交響楽団
コンサートマスター:扇谷泰朋)

 

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ロシアの指揮者を迎え、ボリューミーなロシアンプログラム。
人気ピアニストでチャイコフスキーというのもあり、平日夜にもかかわらず客席は8〜9割埋まっていたように見えました。

1曲め、原典版のはげ山は初めてでしたが、土の匂いがするような荒削りな響きがホールいっぱいに満ち、この日のプログラムの世界観に一気に染まったような気がしました。

2曲めのチャイコフスキーのピアノ協奏曲、
ピアノは粒だちの良い豊かな響き、ソロとオケが寄り添うロマンティックかつスケール大きな演奏が心地よくて、身を委ねるように全身で聴きました

万雷の拍手に答えてソロアンコール
夢のように美しい小品、余韻を残して去っていきました


後半、ラフマニノフは怒涛の演奏。管打楽器はもちろん、弦のソロや総奏の熱量が凄まじく、その厚みと迫力に圧倒されました。
残響は10秒以上あったでしょうか・・指揮者が手を下ろすまでの長い余韻を、奏者はもちろん客席もみじろぎもせず、居合わせた全員で味わった素晴らしい時間。感動でした。

今回も素晴らしい演奏会。ありがとうございました!

公式Facebookより